予防策の3本の柱を覚えて対策をとろう

フレイルとは虚弱を表すFrailtyの日本語訳であり、日本老年医学会によれば「加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」と定義されています。フレイルを放置すると容易に要介護状態に至るため、適切なフレイル予防策を取ることが大切です。フレイルの構成要素は大きく3つに分けられ、身体的要素として筋力低下、精神・心理的要素として認知症やうつ、社会的要素として独居や閉じこもりなどがあります。フレイルの予防は、これら3つの要素に働きかけることが重要です。

フレイルの予防策の3本の柱は適切な食事療法と運動療法、そして社会活動への参加です。栄養状態は、フレイルと強い関連があることはよく知られています。タンパク質の摂取を中心としたバランスの取れた良質な食事に加え、定期的な口腔ケアで食べ物をよく噛める状態を保つことが大切です。食事療法とともに適切な運動療法を行うと、歩行機能を維持し筋力の低下を防げます。社会活動が低下するとフレイルとなるリスクが高いことがわかっており、趣味やボランティア活動など、個人にあった社会活動への参加を促す必要があります。

上記の3本柱を適切に実行するには、持病のコントロールが欠かせません。心臓病や呼吸器疾患、腰痛などの整形外科疾患があると、十分な運動療法を行うことができなくなります。また、内服薬の過剰(ポリファーマシー)もフレイルの原因となることがわかっています。かかりつけ医を持ち、持病を適切に管理することが大切です。この3本柱は、介護の仕事で活かせる知識の1つだといえます。